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2012年2月 1日 (水)

「見かけの力」

「見かけの力」は大域的であることが条件

高校物理では慣性力のことを別名「見かけの力」と言う。

すこし説明すると、加速している座標系に移ると慣性系とは違って時間的に同じ位置でも力を感じる。この力のことを「見かけの力」という。高校物理ではどのように定義しているか、ググると

http://fnorio.com/0060inertial_force1/inertial_force1.htm

つまり円運動なら外向き働く力が慣性力、遠心力すなわち「見かけの力」。それをヒモで同じ大きさで向きが逆なのが向心力、F=maのFのこと。直線運動では加速している力がFなら、その座標系での時間的に同じ位置にある力学系は-Fの力を受ける。これが慣性力すなわち「見かけの力」。ここで加速度系の位置を緑x、外の静止系の座標黒xとすれば

  

のように見える。この式を時間で2回微分し、加速度系にある人の質量をmとすれば

  

左辺は加速度系での人にかかる力、右辺の1項は外からの座標での人にかかる力だから列車の加速度がそのまま反映したかたち。そして-maがすなわち慣性力「見かけの力」。ここで第一項を0、加速度系列車つまりくくりつけられているとするなら、列車の加速度と慣性力「見かけの力」が釣り合っている形となる。これは特殊な例だけど加速度座標系での円運動など加速度運動を取り扱うにはとのような座標変換するか扱うべき事案があり、こうしてみると高校物理はけっこう難しくレベルが高い。それより慣性系同士を扱う方が先だと思う。

 やはり高校では生活に密着した物理だと思う。地上では海の満ち引き、コリオリの力など加速度系に住んでいることはまちがいない。もともと力学は慣性系を出発点にしているので加速度系でも慣性系を作り出すことはできないか考えることは可能だ。例えばブレーキを掛けている車内で床面と摩擦のない自由に動ける台車をおけばそこに乗っていれば擬似的に力のかからない慣性系を作れる。

このことは重力場内においても局所的に力のかからない慣性系を作れる。例えばロープの切れたエレベータ内は擬似的な慣性系だ。そのことから重力も「見かけの力」と言えるのでは。高校物理ではその「見かけの力」の定義があいまいなように感じる。キチンと定義すると重力も見かけの力の一つと教えないといけないと思う。下のコメントにあるように大域的であることが条件で、したがって局所慣性系が作れるからといって重力場は見かけの力とは言えない。

それに見かけの力があるならその反意語の実質的力があるように思えてしまう。ところがその言葉はない。そのことから見かけの力という言葉はあまり使用しない方がいいのでは、慣性力でいいと思う。電磁気力の中でローレンツ力は慣性力になりうるか?

(書きかけです)

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高校物理」カテゴリの記事

コメント

どの力でも対応する加速度系で見れば消えてしまうから、「局所的に力のかからない慣性系」は無意味じゃありません?(実際、カルツァ・クライン理論では電磁場も重力場に含まれてしまう)
高校物理の「見かけの力」は「大局的慣性系で消える力」だけでしょう。

hirotaさん
重力場は質量ある物体にはすべて力がかかるから加速度で生じる力と区別ができないと思ったから、局所的は重力は大きさある物体には潮汐力がはたらくから。「見かけの力」を重力まで含めるのはまずいということですか?
>どの力でも対応する加速度系で見れば消えてしまうから、
電磁力は適当な座標選べば消えるんですか?

電磁力のうち荷電粒子を加速させると制動輻射を起こし、進行方向にブレーキがかかるしくみからすると「見かけの力」は慣性力+制動輻射となり、「見かけの力」イコール慣性力とはいかないわけですね。
いまひとつ、つかみきれない。

「見かけの力」に重力を含めないのは「大局的慣性系で消える力」じゃないからです。

カルツァ・クライン理論を計算したことはありませんが、5次元で考えた重力場に電磁場を含めるそうですから、第5次元方向への局所加速系で見れば電磁力も消えるんでしょう。
重力も加速で制動輻射に相当する重力波を出しますから大差ないですね。

高校物理では
>「大局的慣性系で消える力」じゃないからです。
そうですか、分かりました。いままでその点が腑に落ちないところでした。ありがとうございました。

ちょっと、教えて下さい (マジ、わからないのです)
「中心があって、その周りを回る部屋」の話です。
部屋が、糸で中心と結ばれているなら、部屋の系は、遠心力という慣性力が、働き、
部屋の中の物体は、固定してなければ、飛んで行きます。
しかし、部屋が、人工衛星なら、物体(例えば、ソフトバンクの犬)は、動きません。
(これは、もちろん、自由落下しているからですが)
糸で中心と結ばれている部屋には、糸による向心力が働きます。向心力の反作用が遠心力と、昔、習いました。
また、作用と反作用が つりあう と考えては、いけないことも 習いました。

人工衛星なら、重力による向心力が働きます(計算しようと思えばできます)。
しかし、この場合、向心力の反作用、すなわち遠心力は、働いていないように思えます。
(もし、遠心力が働くのなら、ソフトバンクの犬は、飛んで行って壁に当たってしまいます)
部屋の系には、向心力の反作用、すなわち遠心力があるはずなのに、人工衛星では、遠心力がない のが、理解できません。
どこで、勘違いしているか、お教え下さい。

もちろん、時間の許せる範囲で結構です。

人工衛星の場合、その系の質量ある物は全部重力という糸で結ばれているから外に向かう力を感じないというところまでなら理解できそう。なら光なら遠心力感じる?kafukaさんこのへんは解釈のような感じもします。高校物理は難しいです。

>その系の質量ある物は全部重力という糸で結ばれている
それで、半分は、納得しました。
あとの半分は、、、
その反作用が存在するはずだが、それは、どうなっている(何に働く)かです。

尚、光の場合、E=pc=m’c2 だから、m’=E/c2 という有効質量があると思えば、
問題ないのでは?
(等価原理より、慣性質量=重力質量 です)

人工衛星の公転に同期した回転座標なら遠心力がありますが、何のことを聞いてるのかな?
ソフトバンクの犬というのも知らないけど、CMか何か?
ghsoboさんの答が「回転座標で見た人工衛星が遠心力で外に行かないのは重力(向心力)と釣合ってるから」と言う意味なら、それで正しいけど解釈と言うより観測する座標系の問題ですね。(当然、光も遠心力を感じる)
そもそも、向心力(地球が人工衛星を引っ張る重力)の反作用は遠心力じゃなく「人工衛星が地球を引っ張る重力」です。
ここから間違ってて「作用と反作用が つりあう と考えては、いけない」から「向心力と遠心力が つりあう と考えては、いけない」になってるんじゃないですか?

Hirotaさん>
「お父さん役の犬」が、ぷかぷか、宇宙船内で浮いている というソフトバンクのCMですw

>その系の質量ある物は全部重力という糸で結ばれている
と、Hirotaさんの
>向心力(地球が人工衛星を引っ張る重力)の反作用は「人工衛星が地球を引っ張る重力」です
で、最初の疑問は解けました。
>「回転座標で見た人工衛星が遠心力で外に行かないのは重力(向心力)と釣合ってるから」と言う意味なら、
>それで正しい
もわかります。(人工衛星内では、遠心力も重力も観測されませんから)
しかしながら、
「中心からワイヤーで結ばれて回転する部屋」を、考えた場合は、
「向心力と遠心力が つりあう」と考えるのは、おかしい
と思います。
向心力が観測される系は、座標変換により、遠心力(慣性力)が観測される系に、移れますが、
この2つの系において、
一方の系では、向心力により回転(加速度運動)している。
もう一方の系では、運動は、していないが、遠心力(慣性力)が働く。
つまり、つりあって いません。

慣性系では向心力だけなので釣り合わず、加速度運動する。
回転系では向心力と遠心力が釣り合って静止する。
どちらを採用しますか?
観測する座標系の問題ですが。

>もう一方の系では、運動は、していないが、遠心力(慣性力)が働く
は、間違いでした。
もし、部屋に壁がないと、中のすべての物体は、遠心力で飛んで行く(同じ運動をします)
=系は、加速度運動しています。
ということは、どちらを採用しても、釣り合っていない と思うのですが、、、

壁がない状態は向心力がないと言う事ですから、回転系で遠心力だけなら当然ながら釣り合いませんね。
なんで、いきなり向心力がない場合を持ち出したんですか?

向心力がある場合
慣性系では向心力だけなので釣り合わず、加速度運動(回転)する。
回転系では向心力と遠心力が釣り合って静止する。

向心力がない場合
慣性系では等速直線運動する。(力は何もなし)
回転系では遠心力とコリオリ力で加速度運動する。(釣り合いなし、飛んで行く)

回転座標系にいる観測者から見ると静止しているので「釣り合っている」と解釈。外つまり慣性系では重力で引っ張られて互いに重心を中心にまわり合っている。ただそれだけだと思います。

今回「見かけの力」という余談を許すような言葉にツッコミを入れてみました。

>いきなり向心力がない場合を持ち出したんですか?
そういうつもりじゃなかったのです。
座標系(-∞から+∞)に、壁(拘束条件)があるというのは、変な気がしたので、
部屋に対する向心力があって、且つ、部屋の反対側に壁がない、あるいは、十分遠くに
壁がある状態を想定しました。

よく考えると、定常状態では、部屋の物体は、すべて、反対側の壁から力を受けます。
この力=向心力 ですね。
したがって、部屋の系は、向心力と遠心力が釣り合って静止している
ということで、納得しました。

ghsoboさん、長々とブログを使ってしまい。すみませんでした。
おかげで、積年の疑問が解けました。
僕の物理のレベルは、この程度です。ghsoboさんの方が、ずっと上です。

で、「見かけの力」=「大局的慣性系で消える力」ですが、
上記の議論で、部屋の座標系は、-∞から+∞ではなく、壁に囲まれた空間ということが、わかりました。
こういうのを、局所慣性系というのでしょうか、、、

>ずっと上です
そんなことはありません、逆です。
まとめると
糸で引っ張って回転している場合は部屋の中は向心力がないのでやがて壁に衝突する。その後、「見かけの力」の遠心力と壁から向心力で釣り合った状態となり、壁にひっついたままになる。それは人の運動状態が慣性運動から加速度にかわるので新たに運動量や角運動量をもらう。衝突するまでは慣性運動だからなにも交換はしていない、ですね。だから
部屋の角運動量は部屋の質量をM、中の人の質量をm、速度をv"、 糸の長さをrとすれば
壁に衝突前はL=r×Mvですが衝突後はL'=r×(M+m)v'
v’=(Mv+mv")/(M+m)
計算あっていますか?

局所慣性系はやはり重力の場合と思います。

訂正済み

壁に衝突前は (全?)L=r×Mv (中の人の質量mが入ってない) ということは、
中の人は、後ろの壁でなく、円弧を描いて、別の壁にぶつかる のでは?
僕は、「中の人の存在を前提」とするなら、固定はされてないが、支持されている(後ろの壁の方には動ける)
と仮定した方が、いいと思います。

>局所慣性系はやはり重力の場合
重力により自由落下するエレベータの中の系ですね。

壁に衝突前後でも
人の角運動量はr×mv"でr×Mvは部屋の角運動量で
全角運動量はr×mv"+r×Mvです。

衝突後はL'=r×(M+m)v'
v’=(Mv+mv")/(M+m)なので
r×(Mv+mv")となり前後で変わらないハズです。人は部屋の中にいても固定されていないので等速直線運動です。このままでは壁に衝突して反発係数0なので壁にくっついたまま壁としっしょに回転運動です。

僕も「前後で変わらない」と思います。
でも、「等速直線運動」じゃないと思いますが。
遠心「力」が、働くので
(支持台から 遠心力の成分 を受け続ける)

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