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2012年1月16日 (月)

ハイゼンベルグの不確定性原理関連のニュース

○この記事は専門家が解説した記事ではありません。非専門家の記事です。内容に関して筆者が浅学なため見当違いや不明瞭なところがあるかもしれません。このように理解したということでマユツバを持って参考にして下さい。

最近話題になったニュースだけど

http://www.nikkei-science.com/?p=16686

昔ハイゼンベルグのガンマ線顕微鏡という思考実験を勉強したことあるけど今一つよく分からなかった。この記事読むと

==引用====

ハイゼンベルクは不確定性原理を考える際,この量子ゆらぎと測定による誤差や乱れを混同した形跡がありますが,量子ゆらぎというのはもともと物体に備わっている性質で,測定とは関係なく決まります。

======

そうなんですね。εqηp ≧ h/4πは昔の式ではΔxΔp≧hbar/2
これにσqηp + σpεq が加えられた。

量子ゆらぎとは量子特有の数値のバラツキの標準偏差のことで測定とは関係なく元からあった性質なんですね。εqηpはそれぞれ位置の測定誤差と測定後の反作用による運動量の乱れです。
 ガンマ線顕微鏡という思考実験の印象からすると元々確定した値があって、それを測定装置が不備なためΔxΔp≧hbar/2のようになっていると思われる。そうではない、もともと量子は最初から標準偏差のような広がった状態であったことを明瞭に示しただけだった。つまり量子状態そのものの不確定性と、測定誤差と測定の反作用としての不確定性がごっちゃになっていていた。

いまは不確定性原理とは言わず不確定性関係という。というのは量子状態そのものの不確定性は交換関係[x,p]=ihbarから導き出されるから。これは量子力学の公理→原理の一つとされている。下のリンクを読めば分かるとおり、この関係に変更を加えられようハズもなく、新聞見出しの 不確定性原理に欠陥…量子物理学の原理崩す成果 は大げさどころではない。間違った見出しだ。しいていえばハイゼンベルクの不確定性原理の説明に改良が加えられ、より分かりやすくなったと言うべきでは。

参考になるブログ記事
http://ameblo.jp/matoinoba/entry-11138169768.html

http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/64775359.html

解説のページ
http://www.ssl.berkeley.edu/~ishikawa/uncertain.html
http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a102.htm#q643

・標準偏差とはAnを測定データとすると√Σ(<An2> - <A>2)/Nで計算されるバラツキの程度を表す。これに50を加えたのが受験で知られる偏差値。

・測定は同じ状態の系を用意して個別に位置や運動量の測定を行う。このことによって測定後の反作用による乱れは関係なくなり、純粋に量子状態が取り出せる。

○キチンと勉強したい人は以下の文献および参考書でお願いします。

○キーワード
ケナード・ロバートソンの不等式
小澤の不等式

○参考書
量子ゆらぎおよび不確定性関係については
「新版量子論の基礎」清水明著の78ページ~88ページ

<<追記>>
 不確定性原理というとやはりハイゼンベルグのガンマ線顕微鏡というイメージがある。不確定性は観測装置の不備によるものというイメージがあるせいで、それが原理的に同時に確定値を持たないという説明にいまひとつよく分からなかった。だが新しいトレンドによると電子などの量子的粒子は元々そのような性質を持っていたことは、つい最近知るようになった。今回のニュースで解説のページにあるように
>不確定性原理をハイゼンベルク流に理解している初学者には
>目新しく感じられるでしょう。

まさにこの通りでした。
 新しい知識はアンテナ張って取り入れるベキですね。上記の参考書は表題とは裏腹にレベルが高い。さすかトップの大学だ!すごいてっとり早く知るには「マンガ量子力学」講談社ブルーバックス石川真之介著あたりがよいと思います。

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コメント

リンクありがとうございます。

私はもともと文系で、ここ十年ほど天文、物理などの勉強を続けていますが、量子力学の方面は弱いことを自覚しています。

また、あまり付き合いのいい方とはいえないのですが、もし今後も機会がありましたらよろしくお願いします。

karaokeguruiさん
こちらこそよろしくお願いします。自分もそうだけど相対論に比べて量子力学は分かりにくいですね。最初の出発点となる公理が[x,p]=ihbarですから。これも含めて記事にしたいと思います。

それにしても新聞社の見出しのあおり方がヒドイ。自分のような素人が見ても分かります。特にナベツネさんところ(笑)

cat_falconさんも記事にされています。
http://blogs.yahoo.co.jp/cat_falcon/33191781.html
この中に、正準交換関係から不確定性関係を導く記事のリンクがあります。

ただ、正準交換関係は、公理(要請)ではないです。
観測装置の変移についての空間の等方性とウイグナーの定理、ストーンの定理
から導出されます。
(C.J.アイシャム「量子論」 7.2.2観測器の変位と正準交換関係)
http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/55883912.html
「新版量子論の基礎」にある5つの要請にも、正準交換関係は、含まれていません。

kafukaさんコメントありがとうございます。いくつか不明な点というかおやっと思ったところあります。たしかに「新版量子論の基礎」には"要請"と書かれてあり、交換関係は含まれていないことを確認しました。ということは原理と公理に区別があるんですか?
いままで同じ意味と思い、それほど深くは考えませんでした。
ちなみに理論の出発点となる最初の書き出しは、ニュートン力学では「基本法則」。電磁力学も基本法則としてマクスウェル方程式・・・とあり、相対論は「原理」と「公理」がありますが「原理」が多い。公理とか要請は最近の書き方のようです。量子力学では古い本だと「原理」が多い。
imaroさんのブログにも原理と要請を区別した記述ありました。

>原理と公理に区別があるんですか?
公理は、数学的に、きっちり「証明できない」とされたものですが、
物理の「原理」は、理論の発展(深化)により、証明されることもあります。
で、正準交換関係は、物理の定理 と考えた方がいいと思います。
(「新版量子論の基礎」p83に、[A B]=ik  を証明せよ とありますし)

「新版量子論の基礎」の構成では、
正準交換関係は、p82で [A B]=ik がでてきて、
第4章で、p=-ih'∂/∂x が導かれ、
その結果、[x p]=ih'  という関係が成り立つ
という展開です。
まぁ、この辺が 「スペードマーク」になってないのが、不思議ですが、、、

こちらに訪問するのは初めてですが、T_NAKA です。
(ブログをリンクしていただいてありがとうございます。)

さて、「バロック風物理学序説」(佐藤純夫著_日本評論社)という本の「2-物理学理論の性格」という項の後半を要約したものをUPしておりました。
http://teenaka.at.webry.info/201008/article_6.html
この記事の「公準」を「原理」と読み替えていただくと、参考になるかも知れません。
ユークリッド幾何学と非ユークリッド幾何学が別の「公理」から出てきて、どちらも正しいということに、数学での「公理」の性格が出ていますね。物理学でもニュートン力学と相対論が、どちらも正しいとは言えるのですが、ニュアンスが異なり、前者が後者の近似になっていることはご存じと思います。「原理」と「公理」の違いはこういうところに出ているんじゃないでしょうか?

T_NAKAさんコメントありがとうございます。
リンクのページ見ました。原理に言い換えて
「原理は公理のような自明性はない。要請。」とは逆に公理、要請には誰もが納得するような自明性はないのでは?と思います。このことに関して
「人間が発明した創作であるということです。」なら量子力学の"要請"も仕方ないのかなと思っています。一種の道具主義なんですか?原理と要請の違いについてはimaroさんのhttp://blog.livedoor.jp/imaro1690/archives/5735252.htmlに分かりやすく解説されています。

kafukaさん、本によっては[x,p]=ihbarを基礎法則する場合や「新版量子論の基礎」のように定理にしている本もあり、いろいろですね。出発点とするところが色々あるということはまだ未整理ところがあるんですか?量子力学はいまいち分かりずらい。

私の書き方が良くなかったのかも知れませんが、引用された「原理は公理のような自明性はない。要請。」というのは(私が独自に引用した)辞書の記述で、ここを問題にされても困ってしまいます。量子力学でシュレディンガー方程式から出発するなら、交換関係は後から定理のように出てくるものでしょうね。ハイゼンベルグ運動方程式 i(h/2π)(dA/dt)=[A,H] から出発するなら、交換関係は要請になると思います。エネルギー演算子とのあらゆる交換関係がゼロなら物理量は時間発展(時間的変化)しないことになってしまいますので。。(というのが私の考えです。)
一般に「量子力学」と言われているのは、普通「コペンハーゲン解釈」のことで、並列に(確率力学やボーム力学のような)いろいろな解釈したものがあります(コペンハーゲン解釈の中にもシュレディンガー解釈とハイゼンベルグ解釈があります)。初歩では一番使い勝手の良いシュレディンガー解釈で勉強しますが、レベルを上げて「場の量子論」を学ぶ場合はハイゼンベルグ解釈が必須になると思います。

「新版量子論の基礎」の5つの要請にしても、論理展開が違えば、当然、変わってきます。
出発点が、いろいろあっても、量子力学の大学で習う部分は、完成された理論 と思います。
じゃ、どこら辺が発展途上かと言うと、一口には言えないので、
例えば、堀田昌寛博士( @QEnergyTeleport )のTwitterをフォローして、感触をつかまれる
といいでしょう。

正準交換関係や、その反交換関係を要請とするのは、場の理論の本に、よく見られます。
「新版量子論の基礎」の第7章 場の量子化 でもそうです。

場の理論においては、まだ、勉強中なので、正準交換関係が、他の一般的仮定から
導けるかどうか、わかりませんが、
[x,p]=ihbar は、
http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/55883912.html
に書いたように、アイシャムが導いています。
TOSHIさんに、それをお伝えしたところ、
TOSHIさんによると、ネーターの定理からも導けると言われました。

>ここを問題にされても困ってしまいます
それはすいませんでした。
自分は「コペンハーゲン解釈」をまじめに考えていました。そのほか多世界解釈というのは知っていましたが、つい最近まで完全に"オカルト"と思っていました。ところが清水さんのサイトやマンガQM読んで、まじめに論議されているのだなとを知り、これまた新鮮なオドロキでした。量子論って思ったより自由なんかなと思ったりするけど、多世界はとても受け入れがたいですね。そのマンガQMによると解釈の話は"反証不可能"ということでどうにでも話は作れるようです、自分は初学なのでまじめに大多数の人が言っていることに従うことにします。

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