運動量保存則2…複数個の場合
二つの質点の話だったが複数の場合はどうか。
三つの場合はそれぞれの座標軸に投影して、X軸、Y軸で考える。こうすれば直線上に並んだ質点の重心として扱える。
まずx1とx3の重心を求める。
Xg13(m1+m3)=m1x1+m3x3、m1+m3≡m13
次ぎにXg13とx2の重心考えると
Xg(m13+m2)=m13Xg13+m2x2
なのだが重心m13Xg13はそのままm1x1+m3x3なので
Xgx(m1+m2+m3)=m1x1+m2x2+m3x3
となる。Y軸も同様に
Xgy(m1+m2+m3)=m1y1+m2y2+m3y3
N個の質点系の場合は
まとめてベクトルrを使うと
これも時間で割れば系全体の運動量は
…(1)
となる。質点miにかかる力の内、系内の他の質点かかる力をFkiとし、それ以外の外からかかる力をFiすればmiの運動方程式は
ただしFiiは自分が自分自身からの力なので0となる。質点系全体にかかる力は総和
ところで右辺の最後の項はFikという力は作用反作用の法則から同じ大きさで向きが逆のFkiという力もある。つまりFik=-Fkiである。そのためこの和は0である。したがって右辺の最後の項は0となり質点系全体にかかる力は外力のみかかり、内部の力は寄与しないことがわかる。これは外力がかからなければ当然
となり、時間で割る前の式(1)はconstとなるので、外力がかからなければ系の運動量は一定に保たれる。このことから分かるように複数個からなる質点系でもその重心にあたかも全質量が一点に集まったひとつの質点の運動と考えてもさしつかえない。
流体もしくは連続的に広がっている時は積分をつかう。
全質量は密度をρ(x,y,z)とすればM≡∫ρ(x,y,z)dV
mixiの部分はxρ(x,y,z)dVである。したがって
Xgx∫ρ(x,y,z)dV=∫xρ(x,y,z)dV
以下同様に
Xgy∫ρ(x,y,z)dV=∫yρ(x,y,z)dV Xgz∫ρ(x,y,z)dV=∫zρ(x,y,z)dV
まとめてベクトルr
Xg∫ρ(x,y,z)dV=∫rρ(x,y,z)dV
これらが収束するかは条件がある。Σmiの項で数が無限大であったり、ρ(x,y,z)が空間全体にまんべんなく広がっていたなら収束しないだろう。広がっていても無限遠で十分早く0になれば有限となる。
これを時間で割れば全運動量は
MVg=∫vρ(x,y,z)dVとなる。
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